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2005年ベトナム経済・投資環境の総括
ジェトロ・ホーチミン事務所長
中野 節

 

1. 加速する経済成長

ベトナム政府発表の速報によると2005年の経済成長率は8.4%となり、前年の7.7%に続いて高成長を記録した。ホーチミン市の成長率は12.2%となっている。一方、消費者物価指数(CPI)が前年の9.5%に引き続き8.4%上昇し、最低賃金見直しの一要因となった。


2. 共通投資法・統一企業法

外資系企業の設立根拠となっていた外国投資法の改正作業が行われ、ベトナム企業と外資系企業を同一法で取り扱う共通投資法と統一企業法が11月に国会を通過した。施行は2006年7月1日の予定。
商法の改正も行われ、流通業、商社等の市場開放のスケジュールが政令により定められることとなった。民法典で定められていた知的財産権を独立させたベトナム初の知的財産権法も成立した。
一連の法律の制定・改正は、2005年内のWTO加盟の条件を整えるという側面もあったと考えられるが、加盟交渉は米国等との二国間交渉が決着せず、2006年に持ち越しとなった。


3. 産業の育成

アセアン自由貿易協定(AFTA)に基づく共通効果特恵関税(CEPT)引き下げスケジュールにより、2006年1月1日、一部除外品目を除き、ベトナムの輸入関税が0〜5%に引き下げられることから、国内産業の競争力強化が課題となった。

アセアン域外からの部品の輸入があるため、部品輸入関税が相対的に完成品の関税より高くなる可能性がある家電製品については、政府に対する部品関税引き下げの要求が本格化し、一部が実現した。現在のところ、外資系家電メーカーが急成長する市場から撤退する動きは表面化していない。

国内で生産される自動車の特別消費税(2005年40%)が2006年には54%となる予定だったが、最終的には50%への引き上げで決着した。一方、輸入完成車の特別消費税が80%から50%に引き下げられることになり、輸入車の価格が下がるとの期待を市場に与えたため第4四半期に買い控えが起こり、トラック等を合わせた自動車販売台数は、2005年3万5,246台となり、2年連続の市場の縮小となった。(2003年4万2,557台、2004年4万141台)


4. 日本企業の投資環境

2003年11月14日に署名された日越投資協定は2004年12月19日に発効し、これにより保証される最恵国待遇に基づき、ベトナム政府に対する要求が官民両レベルで議論されることになった。

2003年4月に合意した日越共同イニシアティブは、125項目の行動計画のうち105項目がスケジュールどおり実行されたとの結論を得て、2005年11月に第1フェーズを終了した。第2フェーズの行動計画の策定が2006年6月を目途に行われることとなっている。

1月1日から12月20日までの日系企業の新規投資額は3億7,880万ドルで、2004年通年の7割増となった。WTO加盟に伴う投資環境整備が順調に進めば、2006年も投資額の増加が期待される