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部会別報告
金融・保険部会

 

1. 部会紹介

金融保険部会は正会員12社(銀行、保険会社、監査法人、リース会社)で構成されている。


2. 金融動向

近年続けられてきた国営商業銀行改革は、政府の資本注入による不良債権処理が中心であったが、今後は各銀行を株式会社化させ、資本強化を図っていく方向に変わり、2005年はその準備が進められた。具体的な動きとしては、外国貿易銀行(ベトコムバンク)の株式会社化が9月21日に正式承認され、同行は1.5兆ドンの転換社債を国内投資家向けに発行した上で、2006年から2010年にかけて段階的に株式の売却を行っていく予定である。また、その他国営商業銀行についてもメコンデルタ住宅開発銀行を2006年中に、投資開発銀行と工商銀行を2010年までに株式会社化する方針が決定された。こうした株式会社化を通じて、各行の財務体質改善が図られると共に、経営の透明性が増すことを期待したい。

金融政策面では、国家銀行が年間で3回の政策金利引き上げを実施した。これは急速に拡大する銀行融資の抑制や物価上昇の抑制を試みたものだが、その後も銀行の与信拡大や消費者物価上昇は続いており、2006年もしばらくは政府の金利引き上げ政策が続くものと予想されている。

証券分野では、2005年度は外国投資家の持ち株比率上限の引き上げ(30%から49%)や、外資系企業として初めて台湾系の大亜電線に対して上場が認可されるなど、市場育成に向けた規制緩和の動きが見られた。
しかし、当地証券市場は開設後5年が経過した現在も上場株式数31銘柄、株式の時価総額は約6.0兆ドン(3.8億ドル)の規模に留まっており、今後市場拡大のスピードを速めていくためには従来以上に実行性のある政策を実施していく必要がある。


3. 保険動向

2005年のベトナム保険市場は引き続き急速な発展を続けた。特に生命保険分野での保険料規模増大がここ近年著しい。国民の収入が増えてきたことはもちろんであるが、もともとお金に慎重かつ貯蓄志向のベトナム人に上手なマーケティングを繰り広げた外資系生保の貢献は大きい。個別に見ると、外資100%のプルデンシャルはついに保険料および新規契約数において国営バオベトを抜きシェアトップに躍り出た。また新たに3つの外国生保が100%外資で市場に参入した(仏系1社、米国系2社)。

一方、損害保険分野では、バオミン、バオベトを中心としたベトナムローカル損保が約94%の高いシェアを確保している。その理由は、ベトナム全土の支店網を利用して自動車保険をほぼ独占していることもあるが、国営企業物件やODA案件、国策プロジェクトから外資系損保を事実上排除している不公正なルールの存在が大きい。

バオミンとビナリー(再保険専門会社)が株式会社化され、市場への上場を待っている。さらに国営バオベトが持株会社化される計画が発表され、業界を揺るがしている。損保、生保、銀行、証券、リース、不動産、投資ファンド、ホテルなどを傘下に抱え金融コングロマリットを突き進んでいる。


4. 会計動向

ベトナム財務省は2001年より、国際会計基準・国際財務報告基準を基礎とするベトナム会計基準を公布している。2005年2月には、以下のベトナム会計基準(以下、VAS)が公布された。

VAS17: 事業所得税(法人所得税)
VAS22: 銀行および類似する金融機関の財務諸表における開示
VAS23: 後発事象
VAS27: 中間財務報告
VAS28: セグメント別報告
VAS29: 会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬

これにより、2005年に適用されるVASは、合計22基準となった。

また、2005年2月には、事業活動を行う組織(外国投資企業および外国企業の支店を含む)におけるチーフアカウンタントの標準、条件、任免の手続などに関するガイドラインも公表された。


5. 税務動向

税務については、2004年度、事業所得税(法人所得税)、付加価値税および個人所得税の改正がなされた。これら改正法の施行細則も2004年中に公表され、2005年において、重要な変更を伴う政令(施行細則)または財務省通達(施行ガイドライン)は公表されなかった。

しかし、企業からは新規定の明確化や解釈を求める質問が多く出され、これらに対する回答として多くの公文書が税務総局より発行された。

(1) 事業所得税

2004年12月に公表された事業所得税の自己申告用の確定申告書の様式を公布する財務省通達が2005年1月に発効している。

2005年9月には、財務省より、欠損金の繰越の条件、事業所得税の優遇措置の適用、資本譲渡利益税率などに係る問題について明確化する公文書が発行された。当該公文書では、2004年より適用されている新規定にもとづく事業所得税の減免期間と旧規定にもとづくもの(投資許可書に規定されている減免期間)との比較し、新規定がより有利な場合は、その適用を受けるための条件について言及されている。

また、移転価格税制に関する規定の草案が出された。これは2004年に公開された草案に修正を加えたもので、関連会社間の取引における市場価格の確定について規定している。当局は当該ガイドラインを早急に公表することを目指している。

(2) 個人所得税

2005年2月、財務省より個人所得税のガイドラインの一部を修正する通達が公表された。当該通達により、個人所得税の申告に係る様式が変更されている。

2005年には駐在員事務所の個人所得税に対する税務調査が多く行われた。

(3) 外国契約者税

2005年1月、外国契約者税に係る新ガイドラインが公表された。旧規定と比べ、課税対象が拡大している。