バックナンバー

(P 31-32)

部会別報告
第一工業部会

 

1. 部会紹介 

第一工業部会は鉄鋼・セメント・ゴムなどの素材関連4社、電気・エネルギー関連3社、造船・重機プラント関連5社、建機・輸送機器関連8社、合計20社で構成されるいわゆる「重工業部会」である。

活動の中心は工場見学会や部会・懇親会およびチャリティーを兼ねた親睦ゴルフコンペである。業種が近いこともあり、問題が発生した場合には、会員同士で自由にEメールを出し合える雰囲気の部会であり、貴重な情報交換の場あるいは異業種交流の場になっている。


2. 2005年各業界回顧

(1) 鉄鋼産業

2005年ベトナムの鉄鋼総需要量は約660万トンと予想され、その約半分が建設用鋼材(異形棒鋼・線材・形鋼)となっている。
過去鉄鋼需要は年約15%の伸びで推移してきたが、2004年は製品価格の急騰により前年比横ばいとなった。2005年は前年の需要減を含めた増加が期待されたが、ほぼ例年通りの増加率となる見込みである。2006年以降も社会資本投資、ODA関連投資、設備投資、個人住宅投資ともに活発で、引き続き2005年同水準の需要拡大が続くと予想される。

2005年ベトナムで初めての薄板(冷延)工場が稼働し、同1社が建設中である。また、建設鋼材を主とする国営の新工場も2005年秋圧延が稼働し、製鋼も2006年春の稼働を目指している。

各社1億ドルを超す投資で、供給サイドも需要の拡大に伴い新規資本投資並びに設備増強の動きも増加している。

(2) セメント産業

セメント内需は2000年以降、堅調な経済成長に支えられた民間建築投資や、インフラ整備に関わる公的投資(政府・ODA)の拡大により年率10〜20%で拡大し、2005年も前年比113%増の2,900万トン余に達する見通しである。2006年もこの拡大ペースは続くものと予想されている反面、装置産業の宿命ゆえ急速な拡大もままならず、国内生産能力は大きな資金と時間を要する。クリンカ(セメント半製品)輸入の拡大によりこの間対応してきたが、世界的な需給のタイト化、フレートの高騰、また国際的に低水準に据え置かれている市況ゆえに、近時原料クリンカ輸入難に陥っている。このため需給ギャップは更に悪化しており、国際的に通用し、かつ増設投資に耐えうる適切な市場の構築が焦眉の急となっている。

(3) 石油産業

主要油・ガス田であるバクホー油田(オペレーター:VIETSOVPETRO)、スートゥーデン油田(オペレーター:Cuu Long Joint Operating Company)、ランドン油田(オペレーター:日本ベトナム石油)等は引き続き順調な生産を続けている。また世界的な原油高の恩恵もあり、各オペレーターとも好調な収益を上げていると思われる。

一方、長年懸案となっていたズンクワット(Dung Quat)製油所建設の契約(総額約15億ドル)が、ペトロベトナムとコンソーシアムとの間でようやく5月に調印され、11月に着工された。2009年初稼動開始の予定。

(4) 電力産業

過去数年の高い経済成長率は電力需要を押し上げ、供給インフラが追いつかないという課題を抱えている。2005年7月、ファン・バン・カイ首相は経済発展のために発電設備を整備し、増やす必要があると公言。また、電力総公社(EVN)は2010年までの具体的な発電設備投資計画を発表した。2010年までに現在の約2倍の電力需要が予想され、さらに7,547MWの供給インフラ(発電設備への投資額は約137億ドルと推定)が必要であり、資金源は政府の予算だけではなく、外国民間企業の投資が必須である。日系企業が一部投資しているフーミー2-2及びフーミー3は現在稼動中であるが、同様の民間主導型発電プロジェクトは今後も進められ、ますます日系企業によるハード面及びソフト面での参画が期待される。

(5) 輸送機器産業

四輪
2000年〜2003年は、毎年40%〜60%の高い伸びを記録してきた新車販売だが、04年以降乗用車系車両に対する特別消費税が毎年引き上げられているために、03年の約4万3,000台をピークに04年は、約4万台に減少。05年は、06年から逆に輸入完成車の特別消費税が、大幅に引き下げられることから、消費者の買い控えが広がり、約3万5,000台と大幅に減少する見通しである。

ここ数年にわたり懸案となっていた特別消費税の問題が一応今国会で決着したために、06年からは新車販売が安定し、経済成長に見合った増加が期待される。その一方では輸入完成車の関税引き下げの問題が出てくるために、現地組立をしている四輪産業の将来については予断を許さない状況となっている。

二輪
2005年前半の二輪車市場は前年並みに推移していたが、ガソリン価格高騰に伴い生活物価が上昇したことに加え、台風や洪水等の天災が続き、主要産業の農業・漁業に大きな打撃が与えられたために、同年後半の二輪車購買力は期待していたほどには伸びなかった。物価の高騰により、食料費・教育費・交通費等生活必需品の購入が優先されたことにより、耐久消費材の販売が全般的に鈍化してきたと考えられる。

ここ2、3年、二輪車総需要抑制策、知財権保護、交通安全の問題等、二輪車を取り巻く投資環境が話題になった。「日越共同イニシアティブ」で議論された結果、総需要抑制策の一つである生産枠制限規制は2005年4月に撤廃された。また、「一人一台所有」規制も2005年12月に撤廃された。業界として取り組んだ交通安全運動が効果を上げ、交通インフラも徐々に改善されてきた。中国製に代表されるコピー車も知的財産権保護の意識が高まりベトナム政府の取り締まりも強化された。「遅々として進まず」ではなく、「遅々として進む」と考えれば、全体としては二輪車事業を取り巻く投資環境は改善されている。今後は裾野産業育成という観点から、どのように業界が貢献できるかが課題であろう。