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部会別報告
IT部会

 

1. 部会紹介

2007年度に24社で設立されたIT部会は2年目を迎え、加盟企業数は39社になり成長著しい部会である。日本向けのソフトウェア開発(アウトソーシング)を中心に、ベトナム国内日系企業向けネットワークの構築、業務系アプリケーション開発、WEBのコンテンツ制作、CADなどのデータ入力、そしてシステムLSIの開発などIT全般をカバーしている。IT企業だけに代表者は比較的若く、意見交換も活発に行われている。


2. 2008年度部会活動


活動は、年初の計画をもとに、(1)3ヶ月に一度の部会・懇親会の実施、(2)年2回のチャリティーボーリング、(3)年2回のチャリティーゴルフコンペ、(4)臨時部会、(5)南北IT意見交換会などとなるが、特筆すべきは今年度からの試みとして北部の日系IT企業および情報システムに従事する方々との南北IT意見交換会を実施したことである。6月に第1回南北IT意見交換会をホーチミンで実施。北部からの代表団15名とIT部会メンバーとの間で、高騰する賃金、不動産価格、保有技術、地域性など幅広い意見交換が行われた。また、9月にはベトナムソフトウェア協会(以下VINASA)が主催した「ジャパンICTデイ2008」に絡めて第2回南北IT意見交換会をハノイで実施。ホーチミンからは6社が参加し、活発な意見交換をするとともに、今後この会を継続しベトナムのIT産業に貢献することを確認した。
さらに、IT部会部会長として6月に経済産業省大臣官房総務課、7月には中山経済産業省大臣官房参事官、そして05年に続き2回目となった茂木としみつ衆議院議員をはじめとしたIT議員連盟の諸先生方と水城総領事とともにベトナムのIT産業についてご紹介させていただいた。
6月にはジェトロホーチミンにご協力いただき、南部日系IT企業の賃金調査を実施。賃金の相場を確認している。


3. IT産業の動向


ベトナムのIT産業は、1995年に策定された国家IT政策のもと、著しい発展を遂げている。特に日本向けのアウトソーシングは、内外の企業が率先して実施しており、日本語の話せる優秀なITエンジニアの獲得合戦になっている。日本からのソフトウェア開発発注量も、中国、インドに次いで第3位となっており、前述のIT政策も効を奏し、過去5年間年平均で40%以上の成長を遂げている有望な産業である。
一方、課題も多くある。一つ目はIT産業の要となる通信インフラの整備状況がまだまだ悪いことである。ただし、日越共同イニシアティブ第2フェーズで「通信サービスの向上」と題して4項目の改善提案がなされた結果、回線の発展スピードが世界で3番目に早い国といわれるとおり、国内には光通信サービスが登場し、また、国際通信回線は05年に3.6Gbps程度だったものが、08年の6月には18Gbpsへとわずか3年で5倍の回線容量を実現している。ベトナム国内のドメインやIPアドレスなどを管理しているVNNICによると、10年末までに100Gbpsの国際回線を準備すると言っており、今後、大容量データのやり取りができるようになってくることで、ますますこの業界が発展していくものと考えられる。
二つ目は知的所有権の侵害について。07年1月のWTO加盟に関しては、知財関連の法整備が前提条件となっていたため、06年夏ごろ関連法規ができた。しかし、現在でも街頭で売られている映画やドラマ、そしてOSや開発環境に至るまでに海賊版が蔓延している。最近ではベトナム政府も海賊版の一掃に力を注いでおり、今年に入ってから外資系数社が違法コピーのOSやオフィスツールを使用していたことで摘発を受けている。これに関しても、政府は外交を維持拡大していくために政策を着実に実施していることから時間はかかるかもしれないが改善されていくと思われる。
三つ目はITエンジニアの不足。00年には「優秀なITエンジニアを50,000人輩出する。そのうち25,000人は外国語を話すエンジニアとする」という目標を国家IT政策で掲げていたが、現時点でIT企業で働くエンジニアの総数は30,000人足らずとなっており、05年を目標達成年としていたが、08年時点で達成できていない。ただし、政府も国家大学内のIT学部の強化、ならびに民間企業が設立するITエンジニア育成校への補助などを実施してきており、4年後にはITエンジニアに関してある程度の質と量を確保できる状況に改善されるものと思われる。
人材育成については、会員企業各社が苦労をしており、各社各様の採用基準や社内教育を実施している。ただし、せっかく優秀なエンジニアを採用・育成したとしても何年かすると転職してしまうため、安定した品質を提供できず、結果的に現地に駐在している日本人が関与し、プロジェクトを完了まで導いているケースが多く見受けられる。いわゆる見えないコストの発生である。前述の課題と08年7月の対前年同月比で+27%という異常なCPIを鑑みると、中国内陸部とベトナムを比較した場合、日本語が話せるエンジニアが多くいる分、中国に軍配が上がってしまうかもしれない。
インフレを抑えるとともに、国家IT政策に掲げてあるとおり、通信インフラの整備と、優秀なITエンジニアを創出できるよう、ベトナム国政府及びVINASA、ホーチミンコンピュータ協会の今後の活動に大きな期待をしている。