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部会別報告
金融・保険部会

 

1. 部会紹介

金融・保険部会は、現在は正部会員17社、準部会員2社(銀行、保険、監査法人、リース会社、ローン事業会社、投資会社、コンサル)で構成されている。2008年度は、2回の懇親チャリティーゴルフコンペ、定例情報交換会等を実施した。


2. 金融動向


08年前半は、昨年から引き続き高インフレに見舞われ、一時的なドル不足等の金融市場の混乱も見られたが、政府の金融引き締めもあり、7月以降落ち着きを取り戻した。世界的な金融混乱下もベトナム金融市場は比較的冷静を保ってきたが、11月に入り国内景気の減速と輸出環境悪化の影響を受け、ベトナム政府は金融緩和により景気対策を実施した。銀行分野では、WTO加盟後、5行の100%外国資本銀行の設立が認可される等市場開放が進んだ。その一方で、ベトナム銀行システム全体の不良債権に関する正確な数字は公表されていないものの、多くの企業の経営状況がさらに厳しくなるという可能性も否定できないため、今後の不良債権の動向には注意が必要。証券分野では、ベトナム株式指数は、世界的な株安の中、およそ3年前の水準まで下落した。この株安の結果、一部の国営企業の株式化計画も遅れがでた。今後の動向は、世界的な金融不安・景気減速の先行きによるところが大きく、引き続き注視を要する。


3. 保険動向


保険協会の統計によると08年1〜9月の生命保険市場全体の収入保険料は7兆5,140億ドン、前年同期比12%増と昨年度同水準の成長率を確保した。年後半は、インフレ・高金利、景気減速等の要因により、各社とも成長は鈍化したが、ユニットリンク保険、ユニバーサル保険など新型商品発売の動きも見られた。また、台湾、シンガポール、韓国などアジア勢に加え資本提携や合弁生保会社の形態による銀行系資本の新規参入が相次いでおり、さらなる競争激化が予想される。
一方の損害保険市場だが、08年もバオミン、バオベトを中心としたベトナムローカル損保が約95%のシェアを確保し市場を占拠しており、外資系損保の存在感は極めて低い。その理由は、ベトナム全土に張り巡らせた支店網を利用して自動車保険をほぼ独占していることもあるが、国営企業物件やODA案件、国策プロジェクトから既存外資系損保を事実上排除している不公正な行政裁量も問題である。折からの原油価格高騰により07年度シェアで初めてペトロベトナム保険がシェア2位となり、バオミン、バオベトの2極体制に変化が生じた。他方、損害保険会社数の急激な増加を背景に、一部ローカル系損保の無秩序なダンピング等で、保険料率のレベルの混乱が生じた。それにより、主に自動車保険と工事保険分野において業界全体の損害率の悪化(100%超)を招いた。


4. 会計動向


ベトナム財務省は、01年から05年までの間に合計26の会計基準を発行したが、その後現在まで、新たに発行された会計基準はない。08年度から日本の上場企業に連結される子会社の財務諸表は、原則として国際会計基準(または日本会計基準かアメリカ会計基準)に従うことが要求された。よって、ベトナム会計基準に規定のない金融商品、減損会計、退職給付会計等については、本来、連結用財務諸表作成時に現地子会社で国際会計基準等に基づいて計算することが求められるが、現状においては、多くのベトナム現地法人が親会社の規模に比して金額的重要性が低いという理由でこのような作業を行っていない。今後、ベトナム現地法人が成長するにつれ、上記が問題となると思料されるが、退職給付会計については、09年1月からの失業保険導入に伴い、失業保険掛金払込者および払込期間分は、労働法に定める退職給付金に対する引当計上が不要となるため、企業が独自に退職金制度を設けない限り、国際会計基準との差異はなくなる方向にある。


5. 税務動向


08年は法人税、個人所得税施行ガイダンス、付加価値税法などが公布され、法令アップデートに多忙な年であった。6月に法人税法14/2008/QH12、12月に政令124が公布された。今までの投資インセンティブを規定している政令24に代わって、優遇事業分野がハイテク、教育、文化、ITなどに集中し、輸出率による法人税優遇も2011年をもって、終了することになっている。また、個人所得税が法人税損金不算入となっていることから、まだ明確ではないが、ネット保証による個人所得税負担分は損金算入できないという見方があり、安全のために、駐在員の方はグロス給与で契約することをお勧めする。9月には、個人所得税施行ガイダンスの政令100、通達84がほぼ同時に公布された。今回の個人所得税法は以前の高所得者所得税法を取り替わるものである。ベトナム人中間層が育ってきているためか、税率を下げて、課税対象所得および課税対象者層を増やしている。具体的に最高税率が40%から35%に、課税所得が500万ドン(外国人800万ドン)以上だったものが、400万ドン以上となった。また、法律上ベトナム人、外国人を区別することがなくなった。しかしながら、住宅手当全額および子女教育費が課税所得に加えられるため、駐在員の方には実質的に税負担が増加する。
付加価値税(以下VAT)に関しては、6月に付加価値税法13/2008/QH12、12月に政令123が交付されている。この税法では免税、税率0%、5%以外はすべて10%のVATが発生するとなっている。それによって、固定資産の輸入が免税だったものが、VATが10%かかるとなっているところがポイントである。